大昭和紙工産業株式会社

事例紹介/お知らせ

【特集】ライト株式会社 鈴木英晴 |サスティナビリTeeから始まるゴルフ用品の紙化

2021年8月にゴルフ用品メーカー ライト株式会社より販売を開始した環境にやさしい紙製ゴルフティー「サスティナビリTee(サスティナビリティー)」。実は、カンキョーダイナリー(環境>)を運営する大昭和紙工産業株式会社と共同開発にて生まれた商品なんです。

「サスティナビリTee」の開発担当である、ライト株式会社 COO(執行役員 統括本部長)である鈴木英晴さんに「サスティナビリTee」の開発秘話とゴルフ用品メーカーとして取り組む環境問題について取材しました。

ライト株式会社について

事業内容について教えてください。

ゴルフ用品の製造・卸を行っており、Golf-it!(ゴルフイット)という自社ブランドにてゴルフティーなどのラウンド商品やコンペ商品を販売しています。また、Youtubeチャンネル「ゴルフのライトch」も運営し、商品の紹介も行っています。


ライト株式会社のサスティナビリTeeから始まるゴルフ用品の紙化

私は統括本部長として、新商品開発に取り組んでいます。今回の紙製ゴルフティーサスティナビリTeeも私が開発担当として開発した商品になります。


環境にやさしい紙製ゴルフティーサスティナビリTee(サスティナビリティー)

紙製ゴルフティー「サスティナビリTee」

「サスティナビリTee」について教えてください。

強度や耐水性、デザイン性にこだわった環境にやさしい紙製ゴルフティーです。監修は弊社で、形状の設計、デザインは大昭和紙工産業さんにお願いしました。また、この紙製ゴルフティーをきっかけに、環境配慮の想いが広がることを願い、組み立て式の娯楽性を付与しています。


環境にやさしい紙製ゴルフティーサスティナビリTee(サスティナビリティー)
環境にやさしい紙製ゴルフティーサスティナビリTee(サスティナビリティー)

\気になる方はこちら/

サスティナビリTee|紙製ゴルフティ|5個セット

なぜ紙でゴルフティーを作ることに?

多くのゴルファーが使用しているプラスチック製のゴルフティーは、折れたり、飛んでいったりすることで、回収できずに放置されていることが多くあります。その場合、コースを整備している芝刈り機が巻き込み、刃が傷ついてしまうんです。なので、今までは木製ティーを推奨していました。芝刈り機に影響もないですし、いずれ土に還りますしね。


プラスチックティーが芝刈り機を傷つける問題を解決

ゴルフは自然のなかで楽しむスポーツだからこそ、自然を大切にすべきだと考えています。そのため、ゴルフ用品メーカーとして、できるだけ環境にやさしい商品を提供したいんです。とうもろこしを原料にした、バイオマスプラスチックを使用したゴルフティーも販売していますが、やはり芝刈り機の問題をクリアするには紙がいいですよね。


バイオマスプラスチックを使用したゴルフティー

とうもろこしを原料にしたバイオマスプラスチックを使用したゴルフティー

紙素材に注目したきっかけは何ですか?

これを見てください。私が、15年前にアメリカ フロリダ州オーランドに行った時にもらったものです。


アメリカ フロリダ州オーランドに行った時にもらった紙製ゴルフティー

1枚の紙の台紙にティー、フォーク、マーカーがついたものをもらい、それを偶然にも1つだけ残していたんですが、これがサスティナビリTeeの原点です。こんな話題性がある、おもしろい商品が作りたかったんです。

これはおもしろいゴルフティーですね。

今はそう思えますが、当時この紙製ティーをみた時は、何もおもしろいとは感じませんでした。ただ、実は15年前にこれを参考にサンプルを作って渡したことがありました。


当時、生命保険の営業が勧誘のためにいろんなものを配っていたんですよ。サラリーマンもワイシャツを着る時代だったのもあって、名刺サイズのものは胸のポケットに入れられるちょうど良いサイズとして喜ばれていたんです。なので、名刺サイズの紙に生命保険会社の名前と営業の名前が書いてある紙製ゴルフティーを渡すのはどうだろうと開発したんです。しかし、15年前はあまり受け入れられず、強度の弱いものしか作れませんでした。

では、紙製ゴルフティー作りは2回目だったんですね!

そうなんです。ただ15年前はノベルティで、今回は製品。私も「環境のために」という思いはなく、ただ「なんかおもしろい」という気持ちだけでサンプルを作っていたので、環境への意識が大きく変わっていることがよくわかりますよね。


ライト株式会社|サスティナビリTeeから始まるゴルフ用品の紙化

世の中の環境への意識も大きく変わり、会社としても環境問題に取り組んでいこうとなりました。15年前に取り組んだ紙製ゴルフティーを、もう一度製品として作ることになるとは、当時からは想像もつきませんでした。

サスティナビリTeeの開発苦労話を教えてください。

たくさんありましたね。開発期間は、約2年ほどかかりました。まず最初の課題は、打つとすぐ差し込み口が外れてしまうことでした。なので、ツメを出したりすることで何度も調整を行い、外れにくいものになりました。また、紙の厚さも3〜4回ほど変更しましたね。


環境にやさしい紙製ゴルフティーサスティナビリティー

プロトタイプ版と製品化したのサスティナビリTee


あとは、ボディサイズが大きくなってしまうことも難点でした。少し大きいので、ポケットには入れにくいですよね。さらに好みも出てきますし。なので、本当は原点となったアメリカの紙製ゴルフティーみたいな挿し型ティーを作りたかったんです。ただ、なかなか差し込み部分のとんがり具合を紙で作るのが難しいんです。紙をカットすると必ず圧で潰れたりするんですよね。一番弱い部分に負荷がかかるため、今も苦戦しています。

挿し型の紙製ゴルフティーの開発もされているんですね。

そうなんです。挿し型に関しては、置き型より前から開発を始めたため、もう3年ほど経っていますね。何事もやってみないとわからないんです。


なので、まず最近受け入れ始めている置き型ティーからリリースすることにし、現在のサスティナビリTeeが生まれました。とはいえ、やはり挿し型ティーのほうがニーズが高いため、挿し型の開発に努めていきます

お客様の反響はいかがですか?

傾向として、若い方に人気のようです。好奇心があり、話題性を求めるような意識の高い方に好まれています。また「方向性が定まっていい!」「抵抗が少なく、抜けがいいので飛距離が上がった!」と言うお声も聞かれます。あとは置き型なので、毎回同じ高さで打てるのもいいですよね。ティショットは、メンタル面も大切ですから。


環境にやさしい紙製ゴルフティーサスティナビリTee(サスティナビリティー)

R&A※のルールには抵触していますが、ゴルフを楽しんでプレーしてもらえるという点では、非常に良い商品が出来上がりました。「組み立てるのが楽しい」と言うお声も結構多いんですよ。あと、プロの練習ラウンドでも使用してもらっていて、サスティナビリティを啓蒙してくれているんです。


※R&A|Royal and Ancient Golf Club of St. Andrewsの略で、英国ゴルフ協会のことを指す。現在採用されているゴルフの統一ルールを生み出した団体。現在でも、ゴルフルールの改定はR&Aと、全米ゴルフ協会が行っている。(じゃらんゴルフ参照)。

取引先の反応はいかがですか?

バイヤーレベルでは、ニュース性がありおもしろいと食いついてくれています。ただ、まだコーナー展開ができる商品点数がないため、店舗でどのようにディスプレイしよう?と悩んでいる段階です。なので、これに関しては今後の課題ですね。


またノベルティの要望も増えていて、現在3社くらいの企業から要望を受けています。

環境の取り組みについて

環境問題への取り組みをはじめたきっかけを教えてください。

2018年〜2019年ごろから「サスティナビリティ」という言葉がだいぶ世の中に出回って、勉強をはじめたことがスタートでした。会社としても取り組んでいかないといけないというスタンスを持ちながら、これをどのように社員に植え込んで、生活態度にも活きていくのかを日々考えていました。さらに、それを商品にも反映していくにはどうしていけばいいのだろうというということも併せて悩んでいました。


ライト株式会社|サスティナビリTeeから始まるゴルフ用品の紙化

また取引企業さんが、海洋プラスチックゴミ問題対策ということで、脱プラスチックの取り組みをされていました。商品の依頼内容も環境に配慮したものへと変わり始め、私たちも追随まではいかないけれど、追っていきたいという思いがありました。


そういったことを機に「環境問題対策に取り組むゴルフ用品メーカー」へと変わり始めました。避けては通れない、何も取り組まないと取り残されてしまうという想いが大きかったです。おかげで、今では多くのメーカーさんが環境配慮商品の依頼をしてくださいます。


提供している環境配慮商品を教えてください。

サスティナビリTeeと、先ほどご紹介した、とうもろこしが入ったエコティー、あとは竹を使った素振り用バットくらいで、まだまだこれからなんです。ちなみに素振り用バットは15年前くらいからあって、ジャンボ尾崎さんと始めた商品なんです。プロのみなさんは、体の筋肉をほぐすためのウォーミングアップ用に1本は持っているんじゃないですかね?


ゴルフ用素振り用バット

でも、やはり海外のメーカーは早く日本のメーカーの取り組みは遅いですよね。日本メーカーの商品は、まだまだプラスチック使用率が高いです。

今後、環境面で取り組みたいことはありますか?

まず、挿し型ティーを来春を目標にデビューさせたいです。その次に、店舗でのコーナー展開ができるよう、紙製ゴルフグッズを増やしていきたいです。今、考えているのは、ゴルフコンペで使うフラッグワンウェイ鉛筆。どちらも1度もしくは1日しか使わないものなので、そういったものを紙化できると環境負荷を減らせるのではと考えています。


ライト株式会社|サスティナビリTeeから始まるゴルフ用品の紙化

ワンウェイ鉛筆に関しては、ゴルフ場だけじゃなく、競馬場、宝くじ売り場、銀行でも使用されるため、総使用量を数えるとものすごい量ですよね。コロナ禍でペンを共有で使用することも避けられていますので、環境にやさしい紙製のワンウェイ鉛筆は時代にも合っていますよね。もの自体はワンウェイでも、リサイクルして、また生まれ変わらせられたらいいですよね。


あとは商品自体だけでなく、パッケージも紙化に取り組みたいです。こんなことを言ってはいけないですが、紙化が難しい商品もやはりあるのが現実です。その場合は、パッケージを紙にすることでパッケージを含めた商品全体としてのプラスチック使用量を少しでも削減していければと考えています。ただ本音を言うと、中の商品を見せたいです!ただ、店舗で手にとっていただけるサンプルがあれば、問題ないですよね。今のサスティナビリTeeも、紙パッケージで中身が見えないですしね。

読者の方へのメッセージ

自然を楽しみ、大切にするきっかけとなるゴルフティーへ

ゴルフは自然の中で楽しむスポーツ。そんなスポーツをやる以上、プレー前よりも環境を悪くしないような環境想いのプレーヤーが増えてくれることを願っています。そのためにもゴルフ用品メーカーとして、環境に優しい商品を多くのゴルファーさんに届くよう、引き続き発信していきます。


特に、サステナビリティに力を入れている企業にお勤めの方がゴルフコンペに行く場合は、ぜひ持っていって使ってほしいです。話題性は抜群です!また、そんなパートナーを持つ方が読まれている場合は、プレゼントしてあげてください!よろしくお願いします。


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サスティナビリTee|紙製ゴルフティ|5個セット

編集後記

趣味がゴルフの私ではありますが、サスティナビリTeeができるまで、ティーによる芝刈り機の問題などを知ることなくプレーをしていました。きっと以前の私のように、ゴルフ場が抱える環境問題を知ることなく、折れたプラスチックティーを当たり前のように捨てている人が多いかもしれません。

何度も試作を繰り返し生まれたサスティナビリTeeをきっかけに、多くのゴルファーに地球を思いやりながらゴルフを楽しんでもらえると嬉しいです。また、今後のライトさんの紙製新商品にもぜひご注目ください。