【特集】「未来を変える」ウミガメから学び伝えたいこと#4
現在、世界中でプラスチック製品が溢れ、海洋プラスチックごみや地球温暖化といった環境問題が、毎日メディアを賑わせています。そのなかでも、衝撃的なニュースで大きな影響を与えたのが、動物の被害です。ウミガメの鼻にストローが刺さってしまったり、クラゲと間違えてポリ袋を食べてしまったり。ほかにも多くの動物が、人間の捨てた海洋プラスチックごみの被害を受けています。
カンキョーダイナリーを運営する大昭和紙工産業は、紙で環境問題を解決すべく様々な取り組みをしています。そのなかの一つが、特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオーとの活動支援です。今回は、理事長である馬塚丈司氏に、ウミガメを阻む社会問題やその対策について詳しく伺いました。
馬塚理事長(以下:馬塚)と当社紙で環境対策室の泉による対談形式で、全4回に渡ってウミガメから学び伝えたいことをお伝えしていきます。
第4回「未来を変える」
最終回の今回は、馬塚さんの描く未来とウミガメへの想いについてお話を伺います。
ウミガメとの明るい未来
泉:
ここまで馬塚さんの活動内容や現在に至るまでの歴史を詳しくお伺いしましたが、馬塚さんは今どのようなことを目標に活動されていますか?
馬塚:
長期的な目標としては「遠州灘海岸を野生動植物が安心して繁殖できる自然保護区にしたい」という思いがあります。この海岸でもマリンスポーツを楽しむ人が多くいるのですが、砂浜の植物などが絶滅してしまうので、保護区にして生態系を守りたいです。 それにより、四季折々の海浜植物の花が楽しめ、ウミガメが安心して産卵できる海岸を目指しています。
浜松市の地元の子ども達だけでなく、東京や神奈川など関東の子ども達にも、小さいうちからウミガメを見て感動してほしいんです。
泉:
そうですね。ウミガメ観察会は、感動を得られますし、改めて生き物の尊さを知ることができますよね。
馬塚:
そうなんです。インターネットや写真でなく、私はぜひ本物を見に来てほしいんです。私が提唱している4Kという考えがあるのですが「好奇心のある人は行動し、行動した人は感動し、感動した人は継続する」。
だから、ぜひ多くの親御さんにここへ子ども達を連れてきて欲しいし、連れてきてくれた親御さんには、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。そのためにも、自然を楽しみながら観察できる場を提供したいです。
泉:
とても素敵な言葉ですね。次に短期的な目標もあれば教えてください。
馬塚:
短期的な目標としては「野球場の建設見直し」と「ウミガメを国指定の保護動物にする」ことですね。まず前者に関しては、32年前にも河口の自然を守る自然公園の建設を要望したのですが、また計画が浮上しました。今回もウミガメをはじめとする生き物を守るために、提言していきたいと思います。後者に関しては、保護動物にすることで採捕および売買を禁止して欲しいです。
泉:
そうですね。しかし、こんなにも苦労の多い保護活動を続けていける原動力はどんなところから来ているのでしょうか?
馬塚:
やはり浜の上では、死なせたくない。守りたいという想いですね。海の中で死んでしまうことは生態系の問題で仕方ないですが、人間のせいで浜で死ぬことは避けたいので、必死に守っています。 絶滅危惧種のウミガメというのは、恐竜よりも古い時代から生きている、地球上で最も貴重な生き物です。そういう貴重な生物を放っておくことが、日本の文化として問題だと思います。歴史を勉強しているのに、ウミガメを守らないのは、文化として問題だとは思いませんか?
保護団体の手で守るには、正直かなり荷が重いですが、みんなに伝え、守っていくことが重要なんです。
大昭和紙工産業との取り組み
泉:
当社としても、引き続き馬塚さんの思いを受け止め一緒に活動をできればと思います。紙加工メーカー大昭和紙工産業だからできる支援として、いろいろご相談しながら取り組んでいますが、今後一緒に取り組みたいことなどはございますか?
馬塚:
そうですね。今実際に試験中ではありますが、大昭和紙工産業さんで作っている紙製の米袋を使った土のう袋には期待しています。10年前から自然に還る麻袋を使用していましたが、紙でやることは考えてもみませんでした。ぜひ紙製土のうの実績を作っていきたいです。
また、昨年実施されていたクラウドファンディングも非常に可能性を感じました。私たちのイベントに来てくれる人も「サンクチュアリのホームページを見た」と言って来てくれる方も多いため、ネットでの発信力は今後重要であると考えています。ぜひこれからもうちの活動を応援し、発信してもらえると嬉しいです。
みんなに伝えたい熱い想い
泉:
ありがとうございます。最後に馬塚さんから読者の方へ一言お願いします
馬塚:
はい、私は35年前に初めてウミガメと出会った時、畏敬の念を抱きました。ぜひ皆さんにも野生生物に対してそういう感情を抱いてほしいです。
また、私の活動は生物から教わることばかりです。お金、名誉、地位のない動物から学ぶことはたくさんあります。そんなサンクチュアリの活動に興味を持ってくれた方は、いつでも遊びに来てください。お待ちしています。
泉:
ありがとうございます。 紙製品メーカーとして、当社ならではの方法でサンクチュアリさんをこれからも支援していきたいと思います。 全4回に渡りインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。