大昭和紙工産業株式会社

事例紹介/お知らせ

【特集】「思考を変える」ウミガメから学び伝えたいこと#1

現在、世界中でプラスチック製品が溢れ、海洋プラスチックごみや地球温暖化といった環境問題が、毎日メディアを賑わせています。そのなかでも、衝撃的なニュースで大きな影響を与えたのが、動物の被害です。ウミガメの鼻にストローが刺さってしまったり、クラゲと間違えてポリ袋を食べてしまったり。ほかにも多くの動物が、人間の捨てた海洋プラスチックごみの被害を受けています。

カンキョーダイナリーを運営する大昭和紙工産業は、紙で環境問題を解決すべく様々な取り組みをしています。そのなかの一つが、特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオーとの活動支援です。今回は、理事長である馬塚丈司氏に、ウミガメを阻む社会問題やその対策について詳しく伺いました。

馬塚理事長(以下:馬塚)と当社紙で環境対策室の泉による対談形式で、全4回に渡ってウミガメから学び伝えたいことをお伝えしていきます。

第1回「思考を変える」

1回目の今回は、環境保護団体「サンクチュアリエヌピーオー」さんの活動内容と活動を始めたきっかけを伺います。

アカウミガメを守る活動

泉:

大昭和紙工産業も多くの活動を一緒にさせていただいているサンクチュアリエヌピーオーさん。改めて、活動内容について教えてください。


馬塚:

約35年間、ウミガメの保護を主軸に活動しています。現在は、海岸のゴミを拾う「マイクロプラスチックゼロプロジェクト活動」「ウミガメの生態調査・保護活動」、海岸侵食を防止する「砂浜回復活動」の大きく分けて、3つの活動を行なっています。その活動を多くの人に知ってもらい、体験してもらうべく、定期的に観察会も開催しています。


アカウミガメとの出会い

泉:

大昭和紙工産業も、本社が静岡県ということからサンクチュアリさんの取り組みの支援を開始しました。馬塚さんがウミガメの保護を始めたきっかけはなんだったんですか?


馬塚:

私はもともと水俣病を解決したいと思い、大学で環境分析業務に携わっていました。その研究のなかで、海水を取りに遠州灘海岸を訪れた際に、見たこともない大きな生き物に出くわしました。「こんな大きな動物が浜にいるのか!」と驚き、調べてみると、2億数千万年前からいる地球で最も古い動物の一つであるアカウミガメであることがわかりました。



現在では絶滅危惧種であることがわかり、日本だけでなく、地球からいなくなってしまうことから「これを守らなくて、なにを守るんだ!」と思い、保護を始めました。それまでは、ずっと鳥を観察していたんですよね。


泉:

そうだったんですね。ウミガメの保護活動は、まずどんなことから着手したんですか?


馬塚:

まずは、貴重な生物が遠州灘海岸にいることを知っているか、行政や詳しい人に確認しました。でも、誰もウミガメについて知らなかったんです。「それなら私がやろう!」と思い、鳥の保護と一緒にウミガメの保護も始めました。

まず初めは調査を始めました。すると、1年に219頭も浜へ上がってきていたんです。想像以上の数だったため、行政へ「こんなにも絶滅危惧種がいるので、これを守っていくことはそこに住んでいる人たちの責任だろう」と報告し、1990年、ウミガメとその産卵地は浜松市の天然記念物に指定されました。

スタートラインに立つ

泉:

行政も市民も知らなかったのは驚きですね。では、馬塚さんは浜松の海でウミガメを保護する第一人者ということですね。今ではウミガメの卵を保護柵の中で保護していますが、その経緯を教えてください。


馬塚:

学術的には掘り出すと子ガメは産まれないと言われているのですが、掘り出して保護しなければ、とても危ない海岸でした。もちろん不安もありましたが、実際は掘り出して埋めなおしても卵はかえります。

また、専門家のなかには、子ガメが親と勘違いするから、子ガメに触ってはいけないと唱えるかたもいます。しかし、私はそもそも子ガメは、親の姿を知らないですし、生物学上、餌をくれると親だと思うのではと思っています。このように手をかけて保護してあげることで無事ふ化できた子ガメは、私たちの手で大切に海へと送り出しています。



泉:

私も2度、子ガメの放流活動に参加しましたが、とても感動的でした。ぜひこれからも多くの方にこの感動を知ってもらい、子ガメを通じて、ウミガメに優しい海岸のためにできることを考えていきたいですね。

次回は、馬塚さんが海岸法改正に邁進したお話を伺います。よろしくお願いします。


馬塚:

よろしくお願いします。

◇◇◇ ウミガメから学び伝えたいこと ◇◇◇